クルーズのSLEEPING BEAUTYとは何なのか?

2018年のブラックフライデー、2日目。今日はベースをピックアップしましょう。



クルーズの倉庫に20年くらい寝かせてあったボディー、ネックをチョイスして組み上げた不定期生産モデル『Sleeping Beautyシリーズ』のJBベースです。さて、『Sleeping Beautyシリーズ』とは一体何なのか?

クルーズはその昔、カスタムギターブランド(いわゆるコンポーネントギター/ベースブランド)として認知されていた(んですよ)時代がありますが、この頃は東京にビルダーが数名おり、お客様の要望に合わせたネックとボディーを選んで組み上げるスタイルでした。

いわゆる素材を選んで調理してもらうカスタマイズ・レストランの様な。そう、港区で人気のスタイル。いや、SUBWAY的ともいえるか… 

その時代といえばHEADWAY工場(現在の飛鳥工場)のシニアマスタービルダーである百瀬さん監修のもとでネック等が製作されていたそうです。MOMOSEという刻印が入ったクルーズのネックがそれです(その時代でも刻印が入っていない場合があります)そういった時代を経て、製作数の増加からロッド生産を始めるわけですが、製作のスタンスは変わっていません。

しかしながら、以前の様にネックとボディーをストックしておいてオーダーを受ける、というのはほとんど請け負わなくなりました。現在では自社で材をストックし、飛鳥工場で乾燥後に使用する場合や、飛鳥工場でストックしている未加工の材をお客様のオーダーに使用します。 ところが倉庫には僅かながらその時代(僕が入社する前なので20年以上は前なのは確実です)のネックやボディーがあるのです。中には、海外から輸入した材(Wormothなど)もありました。某ギターブランドの社長さんが渡米する際に手放していったネック材などもあります。傍目にはわかりませんが… そういった秘蔵の材をピックアップし、楽器として組みあげて世に出そう、というプロジェクトがこの『Sleeping Babyシリーズ』なのです。

なので、簡単にいってしまえば、ものすごくお買い得な楽器です。普通にオーダーでこう言った材を使用する場合、この価格では販売できません。

ローズ指板にアルダーボディーのド定番。ミッドレンジの音がスッとヌケてくるこの感触!
商品ページ:
http://hoochies.info/item/bass/crews-bass/sleeping-beauty/3ts-sb-001/


こちらはエボニー指板に重めのボディーを組みわせたクルーズらしい1本。超おすすめです!
商品ページ
http://hoochies.info/item/bass/crews-bass/sleeping-beauty/3ts-sb-002/


そして何より、音です。サウンド。  


古いから音が良い、ということはありませんし、言いません。しかし、時間を経過した材と、現代的な「最新の乾燥室」から出てきた材で製作した楽器では、そのサウンドに明らかな違いがあります。その違いは言葉ではなかなか説明しづらく(いわゆる『枯れた音色』とかに、なっちゃうんですよね)難しいのですが... ベースの場合は特に低域の「モヤモヤ」「モアモア」感の少なさに注目すると、圧倒的にわかりやすいと思います。

ヴィンテージベースの「パワフルなわけじゃないんだけど、余計な帯域の音が少なくて音が抜ける=結果的に音が強く/デカく感じる」的なアレ、あれに近いと思います。特にK&Tピックアップ搭載のパッシブ・ベースは、すごくその事がわかりやすいと思います。 

この音は説明しづらいのですが、この動画のベースの音が好きだという方であれば、多分「おおっ」と言ってくれると思います。日本の誇るミュージシャン、細野晴臣さんのベースの音。個人的には新品のベースでこの音が出すのは、なかなか難しいと思います。


↑この感じ、出ます。是非、トーンを絞って、アンプをドライブさせて(歪ませないで)お試しください。

関係ない話ですが、細野さんの演奏スタイルってJBのフィンガーレスト(THUMB REST)に指を置くスタイルですよね(位置はブリッジ側なのでFINGER RESTは使っていませんが)親指で弾く、この自然な低音。良いですよね。

関係ない話(その2)ですが、↓このTONG POOのベースラインヤバくないっすか?渡辺 香津美さんのソロの後ろで高橋幸宏さんの天才的な四つ打ちに乗っかるベースがかっこ良すぎます。教授はもちろん、矢野顕子さんもカッコいいっす!


あー、ベース欲しくなってきた!


皆さんはどうでしょうか。店頭でお試しください。

MW