K&T CUSTOM JB "VL" #1

以前のエントリーでもご紹介した、K&Tカスタムワウンド/特注オーダーシリーズ

今回もお客様のご好意によりご紹介させていただきます。
まずはこの画像をご覧下さい。

3弦のポールピースのみせり上がってしまっています


下側ボビンが極端なアーチを描いています。
左右の形のズレが確認できます


これは、故意に変形させた物ではありません。

JBピックアップ下のP.Uクッションが、ピックアップを押し上げる力や
演奏上の外的な力により、長い年月を経てボビンが変形した物です。
もちろん、60年代当時からこの形状であったなら、出荷検品のチェックでNGとされていたでしょう。


このベースのオーナー様は大変このベースとピックアップのサウンドを気に入っており、今もレコーディングのメインとして使用されているそうです。
あまりに良い音がするので、サブとしていくつもの同年代のJBを購入されたり試したりしたそうですが、今までは同じ様なサウンドを得る事はできなかったと言います。

もしかしたら、これは特殊なピックアップかもしれない。
リワウンドされている?
それともベースの個体の問題?

そんな時、オーナー様はK&Tピックアップの存在を知り、幾つかのモデルを購入いただきました。

当ブログでもマウントの様子を何回もご紹介させていただいております。

そして今回、遂にその「ナゾの'63 JB」のピックアップを持ち込まれて「この音のナゾを高野さんに解き明かしてもらえないだろうか?」というご相談を受けました。


まずはサウンドチェック。
確かに、ヴィンテージJB特有の乾いた鳴りがそのままアンプから飛び出します。
しかし、サウンドは「枯れて」いません。太さと軽やかさの同居した、個性的なサウンドはパワフル。
しかし音の奥行き感は間違いなくヴィンテージ楽器の「それ」です。




それでは、と高野さんにこの経緯を伝えた所
(これは高野さんの口癖なのですが)「ヘヴィーユーザー様のご要望にはできるだけお答えしたい」と快諾していただいたので、ベースをお預かりし作業場へ持ち込みました。





目視でチェック。
そして、慎重にピックアップを外します。


「・・・村田さん、見て下さい」
差し出されたピックアップを見て「え?」と一言。
それが先程の画像のピックアップです。

これは、いわゆる普通のピックアップであれば間違いなく断線してしまう程の極端な変形を起こしています。
では何故、ここまでの変形でも断線しなかったか?

実はこれが高野さんの言う「ベリー・ローテンション・ワインディング(以後VL)」によるピックアップが生み出した奇跡的な変化だったという事です。

「奇跡」なんて書くと大袈裟に感じられるかもしれませんが、普通であれば断線してしまう程の変形でありながら、ピックアップは機能していますから、これは「緩くコイルが巻かれていたおかげで多少コイルが伸びて変形しても、切れずにいた」という意味でも奇跡と呼べるものでしょう。実際に目の前でこのピックアップを見ると異様な雰囲気さえあります。高野さんも「ここまでの変形は見た事がない」という事でした。


台形に変形したワウンド。下からの押上げの他、上部のボビンも緩やかに反っています。
これはヴィンテージシングルコイルやテレキャスターピックアップにも見られる変形です。
そしてこういった変形は、時にはピックアップを断線させてしまう事もあります。



・・・続く

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