K&Tの"AGED MAGNET" って何だ!?

最近お問い合わせをよく頂いております。
K&Tのエイジドマグネットについて少し補足の説明を。

ピックアップと言うのはご存知の通り、マグネットとコイルが主要なパーツです。
もの凄く簡単に説明すると、マグネットの上で弦が揺れるとマグネットとコイルの間に電気が発生します。
その電気をアンプ等で増幅させる事で「音」として出力するのがエレキギターやベースの仕組みです。

そんな単純な仕組みの中で「音:トーン」と言うものがつくられます。
しかしながら、その「単純な仕組み」を少しアレンジする事で、大きくトーンが変化してしまいます。

このエイジドマグネットとは10年という時間の経過したマグネットの磁束密度を再現する為に開発された物です。
ハムバッカーピックアップのマグネットをこのエイジドマグネットに変更するだけで、簡単に言ってしまえば「角がとれて程良いコンプレッション感を持った耳障りのよいトーン」に変化します。 

そんな中
「では別にわざわざ交換するまでもなく、ピックアップを10年使い続ければ同じ効果が得られるのでは?」
という質問を受けました。
「私が10年前に購入したPRSのマッカーティーのピックアップはそういう音がしているはずだ」
うーむ。確かに理屈ではそうなります。理屈では。

でも実際のトーンはまるで異なります。なぜか?

まず一つめは、一目で解るこのエイジドマグネットの外見「サンドキャスト」成形にあります。

これです
凸凹しています。
現在の一般的なハムバッカーのマグネットは、もっとツルリと磨かれたマグネットが搭載されています。
この見た目がエイジド、と言う訳では無くこの凸凹に重要なポイントがあります。
サンドキャスト=砂型成形のマグネットはつるりとしたマグネットに比べて磁界形成が複雑になります。

(手前がサンドキャスト、奥が一般的なマグネット)

さて、この事がどのようにトーンに影響を与えるのか?
勿論、見た目同様トーンにも複雑な倍音を生み出します(今回は豪快に端折ります!)
・・・
兎に角、ヴィンテージPAFのマグネットはこのサンドキャスト・マグネットが使用されています。
もっとも、普段からこんな濃厚なブログを見てくださる皆さんであれば、マグネットの形状が磁界に影響し、それがどのようにトーンに影響を及ぼすか・・・何となくイメージできる事だと思います。イヤイヤ、イメージで良いんです!

次に着磁方式。
以前のエントリーにもありますが、K&Tではパルス方式から直流式に着磁方をバージョンアップしています。
オフィシャルサイトでも説明していますこの着磁の変更がどのように音に影響するのか?
スタガードポールピース(ポールピースが凸凹したシングルコイルピックアップ)の場合は背の高いポールピースと背の低いポールピースとでは同じ様に着磁できないという事はご存知の通り。
では、このハムバッカーのマグネットの場合は?
出っ張りも無いからパルス式でも直流式でも同じでは?

そう思いますよね。僕も一瞬思いました。

なので高野さんに聞いてみました

私)「どうなのでしょう?同じなのですかね?」
高野氏)「イイエ。全然違います」

・・・そりゃそうです。

もの凄く簡単に結果を言うと「同じ訳が無い」という事になります。
なぜなら、四角いマグネットの両端のエッジは尖っているから!
オフィシャルサイトで詳しい説明を行なっていますが、パルス式の着磁は突起している箇所とそうでない箇所の着磁の度合いにおいてギャップが生じます。それが各弦のトーンと出力に影響を与えます。
直流式の場合、長方形のマグネットの端から中心部分にまで、理想的な(均一な)着磁を行なう事ができます。
つまり、ハムバッカーピックアップのマグネットでもやはり直流式の着磁が威力を発揮する、と言う事になります。

ですから、例えば皆さんお気に入りのヒスコレやマッカーティーのマグネットを交換する事で、ギターとピックアップの「音が変わる」訳では無く、ピックアップが「本来持っているトーン」を手に入れる事ができます。

エイジドマグネット、結構おすすめです。
こんな小さなマグネットバーが、楽器のトーンをここまで変える(修正する?)してくれます。出音のバランスが良くなるとこんなにも楽器を弾くのが楽しくなるのか?とびっくりされる事でしょう。

特にヴィンテージのリイッシューモデルをお持ちのギタリストの皆様、1度サンプルを試してみてください。
そのギターを購入された、と言う事は「こういう音を必要としている」という事でしょう。

自信を持ってオススメします。

MW