1956 PB Project #2

と、言う訳で
往年の名演を支えたあの'56 PBのサウンドを得る為に
巻いてもらったのがこの "P56 BM" です。

K&T P56 BM

緩やかなスタガードポールピースをご確認下さい
このモディファイ最大のポイントは次の画像でご確認いただけるでしょう。

3弦ポールピースがボビン下に飛び出た形で打込まれています
経年変化が生じた、ボビン形状の微妙な変形も再現されています。
別のアングルから

これがカスタムオーダーにて再現されたK&T P-56のブリティッシュ・モッド
P-56 BMの全貌です。
前回のエントリーでもありました様に、当時のリペアマンが施したと思われる
ピックアップへのMODを施してもらいました。
3弦のポールピースを切削せず、あえてボビン下へ飛び出させる事で
独特の磁界を持たせたまま、3弦の出力を下げて全体のバランスを取っています。

勿論、今の技術であればポーピース切削/直流式再着磁、という手順が
最も簡単なのでしょうが、あえて当時のニュアンスを持たせてもらいました。
そういうところが音には大切だと言う事は勿論オーナー様も同意見。
サウンドとは、数値だけの問題ではありません。

勿論、形状だけではありません。
K&T P-52と比べるとスピード感があり、スッキリとした印象のボトム。
逆にローミッドからハイミッドに強烈なキャラクターがあります。
P-56 BMはVL(ベリーローテンション)ワウンドで巻かれ、
なおかつ各ポールピースの磁力を微妙にコントロールしています。
その結果、スッキリと、なおかつウーファーの様な低音を持った
OPBサウンドが得られたのです。

トーンを絞っても失われない力強さ。そして遠鳴りするボトム。
まさにドライヴィン・ロック・サウンド
今回はあえてラウンド弦で派手なサウンドを目指しました。
R,Coccoの弦が良くあう・・・

こちらはオリジナルのピックアップ。恐らくリワインディングされています
キャビティーには56の文字が確認できます
P.Uスプリングも勿論オリジナル
オリジナル(奥)を外し、K&T P-56BM(手前)をインストール

アッセン。魅惑のオリジナルコンデンサーにと
つるんとしたポット。涎が出ちゃいます
P.Uフェンスを付ける前にバランスを取ります。
しかし私(村田)の取ったバランスでは物足りない。
ご本人が弾いた方がはるかにアタックがタイトだったので
再度4弦側をギリギリまでピックアップをあげます。
「このくらい、あげた方が良いと思う」というコージの予言とおり・・・やるな。
そしてフェンスを付けると驚く程トーンが変化。
少し高域が押さえられて太いボトムが出てきます。
オリジナルヴィンテージの風格
マイナスネジ!
昨日早速ライブでご使用いただきました。
ライブ当日はフェンスを外し、さらにアグレッシヴなサウンド。
満員の箱で突き抜ける様なベースサウンドを弾き出されていました。

K&Tピックアップはこういったオリジナルヴィンテージの個体に搭載して
さらにその生鳴りをエレクトリックに出力する質とレベルを持っています。
「使える楽器にしたいから」と臆する事なくヴィンテージピックアップからの
交換を考えられたオーナー様は流石だと思います。
画像掲載にも快く了解をいただきました。感謝いたします。

OPBスタイルを御使用の皆様で
この様な使用をご希望される皆様は是非ご相談下さい。

こちらのK&T P-56 BM仕様のオーダーも、勿論製作可能です。

そして・・・まだまだ驚愕のK&TヴィンテージMODの
エントリーが控えております。次回はPBのカスタム、
そしてさらに濃厚なモディファイが・・・

高野氏の技術がどのようにその個体の音を再現するか?
我々も楽しみで仕方ありません

おたのしみに

mwrata